【経験談】日系企業で働くってどういうこと?

【経験談】日系企業で働くってどういうこと?

平日の昼間に街を歩くと、慣れないスーツに身を包んで歩いている新入社員を見かける季節になりました。
たとえば、東京の丸の内近辺を歩いていると、新入社員だろうなという風貌の若者が歩いているわけです。
彼らの多くは会社とはどういうところなのか、不安に感じながら働いていると思います。
環境の変化に戸惑っている人はいませんか?

また、転職を考えている人には、他の会社はどんな様子なんだろう?と気になる人も多いですよね。

私は新卒で日系企業に就職しました。
その後転職して、外資系コンサルティングファーム、外資系レコード会社を経験してきました。

会社とはどういうところなのか、私が経験から知ったことをお伝えしたいと思います。

 

私が新卒で入社したのは、日系企業でした。
東証一部上場の企業で、
創業から100年以上経っているメーカーでした。
The 日経企業 といった感じですよね。

もともと法律を学んでいた私は、就職の世話をする副教授から、
「法科大学院の学生が欲しいと言っている企業があるけど、受けてみないか?」
と言われ、アプライし、内定をもらいました。

法科大学院の学生が欲しいというくらいだから、きっと法務部に配属になるのだろうと思いますよね。
しかし、内定時には、経理部に配属になるという驚きの通知を受けました。
どういうことやねん。

日経企業の場合、その学生の専門とは全く関係のない部門に配属させるという不合理な判断は、よくあります。
プライベートで会った他の社会人から、大学で学んできたこととは全く関係のない仕事をさせられている
と聞くことがたくさんありました。

その背景には、
・大学で学んだことは仕事では役立たないという日系企業の考え方
・会社にとって必要な部署に新入社員を配置するにすぎない、という現実
があると思います。

日経企業には、ポテンシャル採用というものがあります。
これは、学生が学んできたこととは関係なく、その学生のポテンシャルを見て採用する、という日経企業の傾向です。
ポテンシャルって、何やねんと思う人もいますよね。

これは横文字を使って意味をぼやかしているだけで、単純に、
「うちの会社に入れて問題なさそうな学生を採用し、人が足りていない部署に配置する」というだけの話です。

かくして私は、人が足りていなかった経理部に配属となります。
入社前にその旨を伝えられてから、仕事に必要だろうということで、簿記を勉強して資格を取り、
入社日を迎えました。

入社後は座学の研修を2週間程受けたのち、
地方の拠点(営業の人と機器の調整をする作業員がいる)で2か月ほど現場研修、
入社から3か月ほど経ってから経理部で働き始めることになります。

ちなみに、経理部員にとって、この現場研修は無意味かつ無駄でしかなく、
数年後には廃止されたそうです。
日経企業の中には、このような不合理な研修を平然と実施するところもあります。

 

歯車として働くことが求められる

実際に働いてみると、歯車として働くことが求められる、ということに気づきました。
たとえば、非効率な仕事のやり方を改善しようと改善策を上司に提案したところ、
「今までと同じやり方でやって欲しい」とだけ言われてすぐに却下されたことがあります。

上司の立場からすると、自分がチェックする際に、今までとやり方が変わってしまうと
チェックの仕方を変えないといけないが、それはめんどうくさいから嫌だ
ということでしょう。

このように業務効率化の試みは否定され、「ただ前と同じやり方でやって欲しい」と言われることはざらにありました。

私は前のやり方と新しいやり方を提示して、アウトプットが変わらないことを提示して業務効率化を認めさせたことがあります。現場は難色を示したのに対して、社長からは業務貢献賞を贈られるということになりました。
経営者としては業務効率化は歓迎すべきことなのですが、職場の人には嫌がられる、といった具合です。
これが日系企業です。

日系企業の職場は従業員に対し、ただ歯車として、今までと同じやり方で働いて欲しいと思っている、
という場合があるわけですね。

 

まともな引き継ぎはない

歯車として働くことが求められるなら、マニュアルがあるだろう、引き継ぎがあるだろうと思いますよね。
しかし、私が働いていた日系企業では、まともな引き継ぎはありませんでした。

「前の見てやって」としか言われず、まともな説明などありません。
仕方がないので、エクセルの関数を見てどのように数字を集計しているのかを確認し、
会計システムからどのように数字を取ったら良いのかを考えて試してみて、エクセル上の数値と合っていればよし、
合っていなければ別の抽出条件を試す・・・
といったことを自分でやることになるわけです。

業務の背景と内容、手順を説明する意思も能力もない人がほとんどなのですね。
上手く説明する能力がない、というのは鍛えれば身に着けることができます。
しかし、他人に説明する意思がない、というのはどうしようもできないことです。
他人の意思は、自分では変えられませんからね。
仕方なく、自分で調べて仕事をすることになります。

新人のときに当たった先輩は、
「俺、何も(引き継ぎを)やってないから」とへらへら笑いながら話す人でした。
こういう説明の意思も能力もない人は、どうしようもない人間ですね。
どうしようもない人間が大量にいるのが、私の勤めた会社でした。

まともな引き継ぎなどないのです。

 

給料は安く抑えられている

メーカーだったから、というのもあると思いますが、
日経企業では従業員の給料は安く抑えられています。

入社時の給料は、手取りで20万円もなく、
毎年の昇給は数千円あるかないか
といった感じです。

しかも、これは大卒の話で、高卒はもっと給料が低い
ということもあります。

日系企業には給与テーブルといって、勤続年数何年目の給料はいくらくらい
という目安があります。

中途入社の場合は、勤続年数〇年目とみなす、といった形で、
この給与テーブルに組み込まれることになります。

給与テーブルが、高卒と大卒では別、ということもあります。
大卒の給与テーブルの方が、高卒の給与テーブルよりも高く設定している
ということです。

なぜ従業員の給料は安く抑えられているのか。

大企業経営者の立場から考えると、答えが出てきます。
彼らは、従業員に対して支払う給料をできるだけ安くし、利益を多く計上したいのです。
そうすると法人税の納付額が増えてしまうので、本当にそれが企業にとって得かは別かもしれませんが、
株主に対して「利益を出している=役員として成果を出している」とアピールしたい。
これからも甘い蜜(年収3,000万円以上)を吸うためです。

そのために、従業員の給料は安く抑えられています。

従業員には生きるのに必要なお金+少しのお金を与えて、
生かさず殺さずの待遇で働かせる。
これが日系企業のやり方です。

日系企業が欲しいのは、波風を立てないYesマン

日系企業は社員に対して同質化を求めます。
〇〇社の社員は、同じような雰囲気を持ち、これまでと同じやり方で働き、
みんな同じ、という状況を作り出したいわけです。

日系企業は、ムラ社会だということですね。
したがって、波風を立てず同質化してくれる人が好まれるわけです。
それが従業員個人のキャリアを阻害するものであろうと、お構いなしです。
あくまで会社の都合ということになりますが、同質化が一番に求められます。

そして、日系企業が欲しいのはYesマンです。
会社の求人情報に「和を持って働くことができる人」と書かれているのは、
波風を立てず会社に同質化できて、かつ、Yesマンになれる人という意味です。
Yesしか言わない人の方が、会社としては使いやすいですからね。
反論する人はいらない、Yesマンが欲しい、これが日系企業です。

 

まとめ

私が知る日系企業の特徴は、
・歯車として働くことが求められる
・まともな引き継ぎはない
・給料は安く抑えられている
・波風を立てないYesマンが欲しがられる
というものでした。

この日系企業が世界規模でほとんど競争力がない原因が見えてきますね。

実際に能力のある先輩は資格を取って監査法人等に転職し、
そうでない人が残っている職場、といった感じでした。

東証一部上場企業とはいえ、こんな感じなのです。

・ぬるま湯につかって
・頭を使わず、
・それなりの給料をもらって、
生きていきたい人で、波風を立てずYesマンになれるなら、
日系企業はありだと思います。

逆に、
・創意工夫をして働き、
・成果に応じた報酬が欲しい
という人に私が勤めたような日系企業はおすすめできません。

もちろん、日系企業と言っても、色んな会社があり、
私が働いた日経企業の傾向がすべての会社に当てはまるとは言えません。
業界や職種によっても違うと思います。

ただ、日系企業の中には、上で述べたような会社があること、
周りの話を聞いても似たような日系企業があることから、
参考になればと思ってお伝えしました。

私は結局、給料を上げることと、自分のキャリアアップにつながる職務経験を求めて
他社に転職することになりました。

私が転職する際に登録したエージェントは、Dodaです。
Dodaの転職イベントで、2社目の会社に出会うことになります。

本郷 春都(@hongo_haruto

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